« 2012年6月 | トップページ | 2012年8月 »

2012年7月31日 (火)

原子力でも米国のババを押し付けられる日本

かつて三菱はニューヨークのロックフェラーセンター周辺を買収し、その後相当に損して売却した。買収当時、米国で買うべき不動産は南部のほうに展開していて、北部は魅力がなくなっていた。

同じことが原子力発電所プラント事業でも起こりそうだ。以下は30日の「朝日」の、と言っても英国のフィナンシャル・タイムスの報道を伝える見出しと記事だ。

米GE「原発の正当化、難しい」 CEO発言、英紙報道
 米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト最高経営責任者(CEO)が、原子力発電について「正当化するのは大変難しい」と述べた、と30日の英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。
 GEは日立製作所と原発事業で提携し、東芝―米ウェスチングハウス、三菱重工業―仏アレバとともに、原子炉メーカーの世界3大勢力の一角を占める。東京電力福島第一原発の1号機を建設したのもGEだ。
 ところがイメルトCEOは同紙に対して、世界の多くの国で価格が安いガスによる発電に移行しつつあると指摘し、「ガスと風力か太陽光発電の組み合わせに、多くの国が進んでいる」との見方を示した。

http://www.asahi.com/business/update/0730/TKY201207300578.html

東芝はつぶれかかっていたWHを買収した。このままだと、日立はお荷物となりつつあるGEの原子力部門を引き受けることになりそうだ。アレバは自分で言うほどの技術力がないことが東京電力福島第一原子力発電所事故の処理作業で明らかとなった。日立も三菱も原発は東芝に任せて、この分野から早く手を引いたほうが良いのではないだろうか。その上で、ガスタービンその他のプラントで、昨年夏表面化した、日立と三菱重工の合併、前者による後者の飲み込み、に進んだほうが将来性がありそうだ。いずれそうなるだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月30日 (月)

まだ目覚めない?――従来の日本的システムは機能しない

このところ、東京電力福島第一原子力発電所事故についての政府や国会、さらには文科省そして民間の調査報告書を読んでいる。読んでいるといってもまだSPEEDIについてだけだが、それでも見えてくるものがある。

SPEEDIの運用は文科省が受け持っていたが、文科省の調査報告書にはこうした記述がある。

マニュアル等に記述されていたものとは異なる体制が急遽整えられたことや、他の組織における特性・状況等についての理解が不十分であったことなどを背景として、組織内または組織間のコミュニケーションが必ずしも円滑でなかった面があった

この認識は貴重だが、反面事故当時、各組織の横のつながりを欠き、互いに協力することができず、被害軽減のためのインフラの共有ができなかったことなどがあったことを物語っている。各組織間のコミュニケーションは何事かがおこる前から不断の交流があってはじめて、危機においても機能するのだろう。そうした蓄積がないと、危機において、相互不信が進行し、1たす1が2ではなく、ゼロやマイナスになることもあるだろう。

東日本大震災によってそれまで機能すると思われてきた多くの日本のシステム、とりあえずSPEEDIであり文科省という役所、が不十分で脆弱で、ときに機能不全を起こすものであることが明らかとなった。大地震は従来の日本は安全な暮らしやすい社会と言う思い込みに再考を迫った。今、覚醒した個人と組織によって、マニュアル頼みではない、柔軟でしぶとい社会を築く道を模索する必要がある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月29日 (日)

原発事故ーー国会事故調は官僚ペース?

東日本大震災の原発事故でSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)が活用されなかったことについて、国会事故調は事故を起こした原発が放出している放射性物質の量が不明なため、仮想モデルを使っており「SPEEDIの予測計算の結果も、その正確性は高いとは言いがたく、特に、ERSSによる放出減情報が得られない場合には、それのみをもって、初動における避難区域の設定の根拠とするほど正確性を持つものではない」(国会事故調報告、pp.417-8)として、妥当なこととして受け入れている 。

これだけだとこれまでに約120億円、2011年度予算額が7.78億円だったSPEEDI無用論が出る可能性がある。国会事故調はそうならないための手を打っている。「SPEEDIによる計算結果の活用可能性」という項目をもうけ、活用方法をあれこれあげている。それは目新しいものではなく、従来から想定されていたにもかかわらず、昨年の事故では生かされなかった利用法だ。

その他の箇所についてはまだきちんと読んでいないが、ことSPEEDIに関しては、国会事故調の判断は文科省の意向に添ったものとなっている。この点については、政府事故調は文科省のやり方を批判している。僕はSPEEDIについての判断は政府事故調の方が、妥当だと思っている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月28日 (土)

日本の教育の限界?

7月27日、文部科学省は「東日本大震災からの復旧・復興に関する文部科学省の取組についての検証結果のまとめ(第二次報告書)」を公表した。それは以下のサイトで読むことができる。
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1323699.htm

その報告書で、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の運用の今後の改善点の一つとして以下のように述べている。「あらゆる場合においても十分運用が可能となるようマニュアル等の不断の改定」。これだけ読めば当たり前だが、第二次報告書を読むと、彼らはマニュアルにないことは何もやっていないのではなく、できなかったことが分かる。そのため予算と人手をかけてマニュアルを不断にバージョンアップしても、いざというとき、そのマニュアルの水準を超える事態が起きたときは、また「想定外」ということが起きるのではないだろうか。

2011年3月11日、問われたのは日本の危機管理方法であり、危機管理を担う人材の有無だったと思う。原子力発電所事故については、事故という危機に対応できる人材がいないことが明らかになった。どうしたら、マニュアルにないことでも、ときに必要なものがあることを理解し、実行できる人材の養成が必要だ。日本の文科省はその任に耐えられるのだろうか、きわめて疑わしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月27日 (金)

故郷になかなか戻れない

チェルノブイリの経験からすれば、確かに以下のような話になる。

除染「費用対効果考慮を」=チェルノブイリ当局者が会見
時事通信 7月26日(木)21時42分配信
 ウクライナ・チェルノブイリ立入禁止区域庁のボロジミール・ホローシャ長官は26日午後、都内で記者会見し、東京電力福島第1原発事故による被災地域の除染について、費用対効果を考慮し「学校や幼稚園など公共的な場所を最優先に行わないといけない」と述べた。同日行われた日本との原発事故後協力合同委員会に出席するため、ウクライナの原発事故専門家らと来日した。
 ホローシャ長官は「除染作業を行う人も被ばくするので、農地や森林の除染についてはコストとその効果を検討し、それが有効かを考えるべきだ」と主張。1986年にチェルノブイリ原発事故が起きたウクライナでは人が集まる公共的な場所の除染が費用対効果の観点から有効だったと語った。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120726-00000167-jij-int

福島で「農地や森林の除染」を行わなければ、人々は戻れない。しかしチェルノブイリでは、「農地や森林の除染」は一部手がけては放棄の繰り返しで今日に至っているようだ。(チェルノブイリ事故の除染 ほとんど効果なく多くは打ち切り http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120727-00000010-pseven-int)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月26日 (木)

原発事故調査報告書は出ても事故は進行中

7月23日までに政府、国会、民間それに当事者である東京電力、それぞれの事故調査報告書が出そろった。政府の委員会の長である畑村さん、国会の方の長である黒川さん、どちらも報告書公表の記者会見で事故はまだ継続中だと言明していた。その意味で、事故は収束しておらず、調査の手法は限られれており、それぞれの報告書は暫定的なものにとどまざるを得ない。

その23日に、「日経BP」に掲載された大前研一さんの論考「国会事故調の報告書は『原発の安全』に何の役にも立たない」を読んだ。彼は、黒川さんによる英文の序文の、今回の事故は日本だから起きた、日本人のメンタリティが事故を拡大したという意味の文章を「的外れ」と批判し、次のように書いている。「反省すべきは日本人ではなく、そもそも商業用原子炉を開発した米GE(ゼネラル・エレクトリック)社や米ウェスティングハウス・エレクトリック社であり、その根底となっていた安全思想や安全設計に重大な落ち度があった」。http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120723/316908/?top_jihyo

GEは沸騰水型を開発製造してきたところであり、ウェスティングハウス(WH)は加圧水型を開発し製造してきたところだ。大前さんが言う、「根底となっていた安全思想や安全設計」は両方式に共通することのようだが、具体的には何を意味しているのだろう。深読みすれば、原爆でお湯を沸かすのは所詮無理な話、ということにつながる指摘なのだろうか、もう少し調べてみよう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月14日 (土)

今年の夏は冷夏?

今年エルニーニョが発生するかもしれないという。これから発生となると、少なくとも残暑に悩まされることはないだろう。

残暑の時期までに、原発なしでどれほど電力供給ができ、それで人々の生活がどのように営まれたかが、はっきりするだろう。日本で原発を、今すぐではなくとも、なくしていくという方向は既定の路線であり、国民の健康や安全を考えたら必然的な流れだ。問題はどの程度の時間をかけて、ということだ。

どうしても必要な原発については、サイトから80km圏の人々の即時の避難が可能な状況を確保した上で動かすということになるのだろう。大飯の原発は、何らの安全措置を講ずることなく、役に立たない中央の役人を現地に派遣して、体裁だけを取り繕い、関西電力の利益のために、動かすことを認めている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月13日 (金)

枝野経産相発言「原発割に合わない」

一昨日の「東京新聞」の見出しと記事。

枝野氏「原発割に合わない」 「東電の廃炉費用など沖縄電以外で負担を」
2012年7月11日 夕刊
 枝野幸男経済産業相は十一日都内で講演し、「原発はコストが安いと扱われてきたが、東京電力福島第一原発事故で見られるような廃炉や賠償、除染も考えると全く割に合わない」と述べた。その上で、「原発を保有していない沖縄電力以外の電力会社が、原発比率に応じて保険料相当分のコストを負担し、東電の廃炉や事故の賠償に使うべきだ」と持論を展開した。
 沖縄電力を除外した理由は、原発が無いため。「本州より約一割高い電気料金を払ってきており、原子力に起因する賠償その他の費用の負担をお願いするのは不公平だ」と話した。
 また、枝野氏は「私は原発がない方が良いと思うし、一日も早くなくすべきだと思う」と脱原発派であることを強調。その一方で、昨年の東日本大震災時点で原発が日本の電力の約三割を担ってきたことを引き合いに、「明日できるかと言われればできない。中長期的に原発をやめることと、今すぐやめることはイコールではない」と述べ、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に理解を求めた。
 さらに「既存の原発で省エネと再生可能エネルギーの負担を補うのが現実的な手法だ」と話し、一定期間は原発を稼働させていく従来の方針を繰り返した。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012071102000233.html

やっとまともな判断を聞くことができた気がする。こうした判断のもと、どのように原子力発電への依存を減らしていくか、その間「安全」はどのように担保するかを示すのが政府の仕事だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月 1日 (日)

「神奈川新聞」の記事

半月ほど前に書いた、橋下大阪市長のマッチポンプを指摘した記事の出所を明らかにするのを忘れていた。出典は「神奈川新聞」2012年6月14日の「再稼働は問う」の3回目、石橋学記者の記事だ。

僕はこの記事の指摘は「するどい」と思ったのだが、僕の連れ合いには、冷たくあの市長そんなものとはじめから分かっていた、と突き放された。

大飯原発再開反対ということで官邸を取り囲むデモが盛り上がり、福井県現地でも道路封鎖が続いている。危険性も大問題だが、それと同時に、それを無視し、遮二無二再開を強行しようとする政府の一方的なやり方が人々の怒りを燃え上がらせている。同じことがオスプレイで沖縄で起きている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年6月 | トップページ | 2012年8月 »