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2006年6月30日 (金)

むし暑い

午後3時前に成田に着いた。

むっとする暑さ、日本に、梅雨の日本に帰ったことを実感した。

この気候は時差ぼけの解消に、通常より長い時間を強いられる大きな要因だ。つらいものがある。

明日土曜日は、ゆっくり休養し、日曜日の研究会に備えよう。

世界平和フォーラム、参加者の平均年齢はやはり高い、その中で日本の若者の組織的参加、原水協とピースボート、は目立った。中身の面では今ひとつはっきりしない。しかし、数の面だけでも、目立つのは良いことだ。

これも経済大国、今や衰退しつつある経済大国でもあるが、故の数の多さか?

経済の衰退に反比例して、中身を鍛えて行くことになるか。期待している。

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2006年6月29日 (木)

ピースボート――期待していたのに…

世界平和フォーラムで、日本の若者のパフォーマンスを期待していた。ある一言で裏切られた。

それが日本の常識で、世界の顰蹙(ひんしゅく)だと思った。

ピースボートの若者は、「世界平和フォーラムの閉会」の「余興」で北海道と沖縄の民謡と踊りを披露した。

沖縄を紹介するのに、第二次世界大戦で日本の唯一の地上戦が展開された…、と言っていた。昨日か今日かははっきりしないが、パレスチナで住民がイスラエル軍に殺されている。今、今、今、戦場に住んでいる人がいるんだ。なんという能天気、僕は能天気では人後に落ちないつもりだけれど、上には上があるものだと思った。

憲法9条を持つことを平和ボケというではなく、こうした現実感覚の、世界情勢の把握の欠如を、平和ボケというのだろう。

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2006年6月28日 (水)

若い人の参加

いわゆる平和運動に参加すると「高齢化」を感じる。それは日本に限らず、ここカナダでもそうだ。しかし今回、バンクーバーでの世界平和フォーラムでは日本の若者の姿をよく見る。

彼らの多くは日本原水協(原水爆禁止日本協議会)の一員として今回の催しに参加している。原水協は総勢200人ほどで会議に参加し、ビラを配り、署名を集め、会議で発言し、存在感を遺憾なく発揮している。

彼らの組織力からすれば、上記のような存在感を示すことは造作もないことだろう。僕が驚き、嬉しく思ったのは、大学生が派遣メンバーの一員として多数、多分自費で、参加し、それぞれの活動を、いろいろな分科会で展開していることだった。いろいろな世代がそろっており、印象的だ。

僕は若い彼らに、どうしてこの会議に、また原水協の活動にかかわることになるのかを聞いた。さすがに原水協は、いろいろなノウハウを持ち、実践している、と感じた。

これまでの原水協の長年にわたる地道な努力を感じるとともに、僕たちも彼らに負けずに、自分たちの思いを、活動を次の世代に引き継いでいくことが、最低限の任務だろう。

こんなことを感じたのは、撫順の奇跡の分科会の影響だろうか…。

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2006年6月27日 (火)

歴史的事実――僕は甘かった

今日も、バンクーバーの世界平和フォーラムでの見聞だ。

今日の話も、昨日、こちらの時間で25日の日曜日、のワークショップでの経験だ。ワークショップは「撫順の奇跡」だ。

撫順の奇跡とは、第二次大戦後、中国の捕虜となり撫順の戦犯収容所(中国は戦犯管理所と言ってる)に収容された旧日本兵が人としての自分自身に覚醒し、戦時中の残虐行為を心から悔い、日本に帰国後「中国帰還者連絡会(中帰連)」を結成し、日中友好に努めたことを指している。2002年に中帰連は解散した。それを受け継ぐ形で、現在「撫順の奇跡を受け継ぐ会」が若い人を中心に組織され、活動を行っている。

撫順で芽生えた想いが、国を超え、世代を超えて受け継がれている。これも「奇跡」だ。

さて今日の本題だ。

パネリストの一人が次の話を紹介した。

若い中国人所員が、自分が担当する日本人に、彼の父を殺した人物を見つけた。若い所員にとってその日本人は仇だ。しかし上司から「報復の応酬は悲劇を繰り返すだけだ」と諭され、収容所の仕事を続けた。そしてある日、その元日本兵が急病となり苦しんだ時、若い中国人は彼を背負って医務室に運び、仇の命を救った。そうした経験が中帰連の人々の心に響いており、それが奇跡を生む原動力となっている。

これは有名な話で、僕もそう信じていた。

ところがカナダ人の歴史研究者が「若い中国人が元日本兵を救ったという事実を立証する文書はあるのか?その話は中国の宣伝ではないのか?」と質問した。

僕はそんな検証を全くすることなく、この話を信じていた。

僕は自分の甘さを痛感させられた。歴史研究者として歴史的事実と向き合う時、僕は甘かった、と震撼した。

ワークショップは怖いことだけではなく、勇気づけられることもあった。

参加者の一人が、この奇跡を他の戦争や争っている国々に起すことはできないか?と質問した。そのときに僕が思ったのは、一度起きた奇跡は繰り返せる可能性がある。一度実際に起きたのだから、再度起すという希望を持って活動すれば良いのだ。一度起きた奇跡を、奇跡のままにしてはいけないのだ。

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2006年6月26日 (月)

米国の反戦活動家

先週からカナダのバンクーバーに来ている。世界平和フォーラムに参加するためだ。

今日、日本時間では26日の早朝、バンクーバーでは25日の昼、シンディー・シーハン(Cindy Sheehan)さんの話を聞くチャンスがあった。

とても聞きやすく、また説得力もあった。彼女が米国で多くの人から支持されている理由の一端を身を以て体験した。

彼女が全米を代表する反戦活動家になってしまったのは、彼女の息子がイラクでの戦争で戦死したことがきっかけだった。息子のケーシー・シーハン(当時、24歳)は、2004年4月、バグダッドで戦死した。それがきっかけで彼女はイラク戦争の意味を問うことになった。

調べてみると、彼女は2004年末には運動を立ち上げているが、それが全米に広がったのは2005年8月だった。今日のスピーチで彼女は「マスメディアの対応が変わったのは2005年8月でした」と述べていた。

2005年8月、それまでほとんど取り上げられなかった彼女の戦いが、彼女が米国大統領、G・W・ブッシュに面会を求めて、大統領が休暇を過ごす農場から8kmのところで野宿を開始した時から、多くのマスメディアの注目を集めるようになった。その頃から支持が全米に広がった。

彼女の問いは、自分の息子はなぜ死んだのだ、何のための戦争なのか?犬死ではないのか?ということだった。この唯一つの疑問に大統領は、「今日、未だ答えていない」と指摘していた。

今日の彼女の話は、先ず母親として、次いで人間としてのありようを述べ、私たちは「国民である前に、人である」というところから始まった。宇宙の中の人というレベルで言えば、米国の人も、イラクの人も、アフガンの人も皆同列であるし、戦う必然性はない。

地図の上に引かれた一本の線、国境が、国家主義、愛国主義そして軍国主義を作り出していく。それが戦争機械を操ることになる。

人はもっと小さな国境を作ることがある。それは私有財産であったり、企業であったりする。そこには制服で色分けされた企業主義がはびこり、小競り合いやら不要な軋轢が引き起こされることになる。

彼女の呼びかけは、他の母親の子供に目を配るような、別の愛国主義、別の国家主義を、非暴力で作り上げよう、ということだった。

そうしたことが実現できていれば、自分の息子がむざむざイラクで戦死すること(殺されること)はなかった、と述べた。息子は誰に殺されたのだ?彼女はイラクに殺された、とは言わなかった。

むしろ、米国がイラクで動かしている「戦争機械」によって殺された、と考えているはずだ。それが、大統領への質問になっている。

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2006年6月25日 (日)

人の骨の発掘

軍医学校跡地の未発見の人の骨の問題が、17年ぶりに動きそうだ。

1989年7月に大量の人の骨が掘り出された、旧陸軍軍医学校跡地に未発掘の人の骨が埋まっている可能性を厚労省が認め、発掘を約束した。以下は「朝日」のサイトの記事の全文だ。記事には埋設されていると考えられる場所が地図上で示されている。

さらに多数の人骨埋設か 新宿の旧陸軍軍医学校跡
2006年06月24日15時24分
 東京都新宿区戸山で17年前、頭蓋骨(ずがいこつ)などの人骨が100体分以上発見された旧陸軍軍医学校の敷地近辺に、さらに大量の人骨が埋められている可能性が出てきた。同校で看護師を務めていた女性が今年、「進駐軍に見つからないよう人体標本を3カ所に埋めた」と初めて具体的に証言し、川崎厚労相に23日に面会して、その事実を伝えた。人骨には、日本兵の戦死体に加え、対戦国人の遺体も含まれているとみられる。厚労省は同地区を発掘調査する方針だ。
 証言したのは、元陸軍軍医学校に召集されて勤務していた都内在住の石井十世さん(84)。戦争中、戦死体とみられる遺体などを解剖し、人体標本として病院内に保管していたことや、終戦後、占領米軍に見つかることを恐れた関係者が敷地に標本を埋めたことなどを市民団体メンバーに語り、厚労相にも23日に面会して証言した。
 同地区では89年7月、国立予防衛生研究所(当時)の建設中、頭蓋骨、大腿(だいたい)骨など100体以上と見られる人骨が見つかっている。新宿区が鑑定を専門家に依頼し、「日本人とは異質とみられる骨が含まれる」「ドリル、のこぎりによる加工の跡がある」ことが分かった。
 石井さんによると、この人骨が発見された場所は、当時関係者が埋めた地点の一つ。その他に2カ所、人体標本を埋めた地点があり、うち1カ所は自分自身も作業を手伝った、という。
 付近には戦時中、陸軍の医療関係の施設が集中していた。戦時中、中国で細菌や毒物などの生体実験をしたとされる「七三一部隊」(関東軍防疫給水部)の日本における研究拠点もあった。
 石井さんは「霊安室の遺体の多くには名前がなく、番号札がつけられていた。中国での戦死体ではないか。日本人以外の遺体も含まれていたように思えた」と話す。
 新たに人骨が埋められていると指摘された2カ所はいずれも国有地で、公務員住宅などに使われている。
    ◇
 旧陸軍軍医学校周辺では、89年に人骨が見つかった場所のほかにも人体標本が埋められたとの情報が以前からあり、厚労省が01年にまとめた調査報告書でも指摘されている。ただ、直接的な証言が乏しく、場所も特定できないことから、厚労省はこれまで発掘調査の必要はないとしていた。
 しかし、自ら人体標本を埋めるのに立ち会ったとする具体的な証言が飛び出したことで、状況は一変。川崎厚労相は自ら石井さんと面談して話を聞き、「調査」を明言した。
 新たに人骨が埋められたと指摘された土地のうち、厚労省が管理する土地はもともと公園用地として東京都に払い下げられる予定だったが、周辺の人骨騒ぎで中断していた。
    ◇
 〈馬場悠男・国立科学博物館人類研究部長の話〉骨を分析すれば摂取量の多い食品が分かるし、東アジア人かどうかなど区別はつく。歯科治療は日本と中国とで違いが大きい。ただ、分析を尽くしても、中国人と断定したり、ドリルの跡が生前に受けたものかどうか見分けたりするのは極めて難しい。
http://www.asahi.com/national/update/0624/TKY200606240260.html

17年、長い道のりだった。

発掘が進み、骨が工事のついでではなく、遺骨として丁重に掘り出されれば、各種の調査・分析がより容易となるだろう。掘り出されれば、半世紀以上打ち捨てられていたそれら遺骨を慰霊するだけではすまない。丁寧にあつかうことは当然だが、その上で身元を調べ、それによって埋葬方法や、返還方法などを決めていく、という準備が必要だ。

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2006年6月24日 (土)

自己の危機管理もできない日銀総裁

ゼロ金利で泣いている人がおおいなかで、濡れ手に粟の日銀総裁という図式だ。

自分で研究して、調べ、投資をしている人からすれば、低金利に泣いているだけの人は、自業自得で、自分が悪いということになるのだろう。しかし、今回の日銀総裁の「投資」は、自分で調べて、研究して、というより「役得」の側面が大いに強い。それゆえに「濡れ手に粟」と判断される。

彼の問題は、日銀総裁に就任する時に、身奇麗にしなかったことが第一で、第二は問題発生後その説明が変わっていることだ。「毎日」のサイトは「福井総裁が20日、国会に提出した資料で投資による利益が1473万円に上ることが判明。01年のファンドの再編に伴い分配金242万円を受け取っていたことも明らかになり、現金化を否定していたそれまでの答弁との食い違いも生じた。」と書いている(http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060624k0000m020085000c.html)。どうも彼は自分自身の危機管理ができていないようだ。少なくとも危機管理の第一歩である、危機の認識ができていない。

自分自身の危機管理ができない人が、中央銀行の総裁を務めるのは無理があるだろう。確か彼は、古くから日銀のプリンスと言われ、一度接待汚職か何かの件で外に出た、その時村上ファンドに出資した、が運よく日銀に総裁として戻った人物だ。そう見ると、天下の日銀にはたいした人材はいない、ということか。いやなさけない。

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2006年6月22日 (木)

患者想いの医者

いまどきそんな医者がいるのか、と思う人もいるかもしれない。

いるらしいが、過ぎたるは猶及ばざるが如し、という例を見つけた。以下は「産経」の記事だ。

自分の患者の容態悪化に立腹、病院に放火未遂 開業医逮捕
 自分の患者の容態を悪化させたと腹をたて、近くの病院に火をつけようとしたとして、警視庁青梅署は放火未遂の現行犯で、東京都青梅市河辺町、「坂井医院」院長、坂井成彦容疑者(49)を逮捕した。
 「自分の患者が耳鼻咽喉科医院で受診後、久しぶりに姿をみせたら症状が悪化していた。今まで何を診察してきたのかと思い腹が立った」と供述している。
 調べでは、坂井容疑者は今月9日未明、青梅市師岡町の耳鼻咽喉科医院の正面玄関にサラダ油をまき、ガスボンベとライターで火をつけようとしたところを通報で駆けつけた署員に取り押さえられた。
(06/21 13:38)
http://www.sankei.co.jp/news/060621/sha060.htm

これほど患者思いの、しかし見方によっては思い込みの深い、医者に診てもらうというのはどんなものだろう。

僕はもっと「客観的」な視点で診てもらいたい、と思っている。でも歳をとると、すがるような気持ちでこの記事のような医者を求めるかもしれないな…。

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2006年6月21日 (水)

回転ドア――習慣の違い

ニューヨーカーは親切で、アジアの都市住民は不親切だという記事を読んだ。

その内容は次の通りだ。

ニューヨーカーは世界一親切 米雑誌調査、最低は印ムンバイ
 【ニューヨーク=長戸雅子】米誌リーダーズ・ダイジェストが20日公表した世界の主要都市の親切度調査でニューヨークが1位に選ばれた。「ぶっきらぼう」とのイメージが強いニューヨーカーだが、調査では8割が親切さで合格点を得るなど大都会での人情は健在のようだ。
 同誌はニューヨークをはじめ、トロント、モスクワ、ロンドンなど世界の35の主要都市に覆面調査員を派遣、(1)入り口のドアを次の人のために押さえているか(2)買い物袋を下げた客が店をでるとき店員があいさつをするか(3)あわただしく人が行き交う場所で書類を落としたら拾う手伝いをしてくれるか-の3点を基準に調査を行った。
 2位はスイスのチューリヒ、3位はカナダのトロント。
 一方、もっとも親切度が低い地域はアジアで9つの都市のうち8つが最低レベルと判定され、最も不親切な都市はインドのムンバイだった。ヨーロッパではモスクワとブカレスト(ルーマニア)が最も親切度が低い都市に選ばれた。
 同誌は親切な人が多い理由について「私が育てられたのと同じようにしているだけ」とのニューヨーカーの声を紹介し、「しつけによる影響が大きい」と分析している。
(06/21 08:19)
http://www.sankei.co.jp/news/060621/kok028.htm

この調査では日本の都市は対象となっていないが、チェック項目の(1)出入り口のドアを次の人のために押さえているか、は日本で調べれば、ほとんどの人が「そんなことしないよ」、「するわけないよ」という反応だろう。

このドアを次の人のために押さえるというのは、「回転ドア」で育った人々にとっては当然のことのようだ。それが「育てられたのと同じようにしているだけ」という答えに通じている。

こうした習慣を持たない、そして知らない人に対して、ニューヨーカーやチューリヒやトロントの人々は違和感を、野蛮な人だなあという印象を持つだろう、と思う。

この点は、国際的に活躍したいと常日ごろ言っている学生には指摘しておかなくてはいけない。宿題だ。

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2006年6月20日 (火)

アスベスト―近鉄が訴えられた

近鉄の高架下の店舗に入居し、商売をしていた方の遺族が家主の近鉄を訴えた。

ご本人は、アスベストが吹き付けられた店舗で長く仕事をしていた。そして中皮腫で死亡している。以下は「朝日」の記事だ。


高架下の文具店男性死亡、「壁の石綿原因」と遺族提訴
2006年06月20日12時49分
 原告側代理人の弁護士は「石綿が吹き付けられた建物の所有者に対し、粉じん飛散の責任を問う訴訟は全国で初めてではないか」としている。
 訴状などによると、男性は府内の近鉄線高架下に69年にできた店舗を70年から借りて文具店を経営。その際、天井と壁はそのままにして店舗内に2階部分をつくり、倉庫として使用した。男性は02年6月に悪性中皮腫と診断され、04年7月に死亡した。
 遺族側は、石綿が高架上を走る電車の振動ではがれ、大量の粉じんが倉庫内に飛散したと指摘。「建物の管理責任を負う近鉄側が粉じんの飛散防止措置を怠ったうえ、(男性に)警告もしなかったために中皮腫にかかった」と主張している。石綿はすでに近鉄側が除去したという。   
 〈近鉄秘書広報部の話〉 法的責任を認めることはできないが、相応の見舞金を提示して話し合いを続けてきた。訴訟を提起されたことは残念だ。
http://www.asahi.com/national/update/0620/OSK200606200061.html

日本でアスベストの吹き付けが「原則禁止」となるのは1976年だ。この禁止措置が「強化」されるのは96年だ。76年の措置は、アスベストを5%以上含むものを使用禁止とした。96年にはそれが1%以上となった。

こうした経緯からすると、法律的には近鉄は76年以前は、国に責任をかぶせることも可能かもしれない。しかしそれは、76年以降は、家主としての当然の注意義務を怠った、ということにもなる。

この辺の議論は別にして、とても厄介な問題だな、と思う。これからこうした込み入った問題が増えていくのだろうか。

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2006年6月18日 (日)

中国行はあきらめた

3月30日に「生命倫理を欠いた国で世界生命倫理学会」というタイトルで「今年、2006年の8月、中国の北京で第8回世界生命倫理学会が開催される。そこで講演することを求められている」と書いたが、その時触れた文部科学省傘下の学術振興会の補助金、申請していたが却下された。

補助金なしに行く、ということは私費で行く、あるいは私どもの大学の予算で行くことになるが、講演のためだけに行くのは旅費の無駄使いだ。

そんな旅費があったら、僕は米国や英国その他の博物館でいろいろな資料を集めたいと考えている。

今までにやった研究をまとめて講演するより、いま僕が知りたいことを調べる、資料を集めることのほうがはるかに健全で、楽しいことだ。貴重な旅費はそのために使う。

どうやらこの夏、731部隊――石井機関について話をする山場は、7月22日、土曜日、の僕たちの「人骨(ほね)の会」の集会となりそうだ。楽しみだ。

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2006年6月17日 (土)

日本では「チャレンジ」すらままならない

記事を2つ引用する。ひとつは「朝日」。これは日本社会ではチャレンジどころか、基本的人権すら確保されていないのではないかと思わせる報道だ。

105自治体が就学援助の対象縮小、額削減 財政悪化で
2006年06月16日22時29分
 公立小中学校で学用品や給食費などを支援する就学援助で、全国の105自治体が05年度に支給対象者数や支給額を減らしていたことが16日、文部科学省の調査でわかった。自治体の財政悪化が一因という。
 調査結果によると、87市町が認定基準の引き下げなどで支給対象者数を、18市町が支給額をそれぞれ減らしていた。
 理由は「他市町村との比較」が31自治体で最多。次いで25自治体が「財政状況」を挙げた。
 要件の緩和などで支給対象者数や支給額が増えたのも16市町あった。
http://www.asahi.com/life/update/0616/011.html

もうひとつは「毎日」。これは日本が「チャレンジ」社会と程遠い、再チャレンジなんぞチャンチャラおかしい妄言であることを指摘している記事だ。

ミレニアム技術賞:中村教授「人口問題解決にも貢献可能」
 【サンタバーバラ(米カリフォルニア州)國枝すみれ】生活を向上させた応用技術などに送られる「ミレニアム技術賞」を受賞した米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授(52)は16日、同大キャンパスで会見後に毎日新聞のインタビューに応じ、「人類の役に立つ技術と認められ、うれしい。ノーベル賞と同じぐらいの大きな賞だ」と話した。
 青色発光ダイオード(LED)の製品化に成功したことで知られる中村教授は、32カ国109人の候補者の中から選ばれた。
 研究者の間では誰も試さなかった窒化ガリウムを研究材料に選んだ。「他人がやらないことをやることが鍵」
 研究生活を続ける限り、米国にいるつもりだ。「ここではやる気があれば誰でもアメリカンドリームを追求できる。やり直しもきく。日本ではいったん就職したら大学に戻ることも難しい、サラリーマン研究者だ。一部の限られた人間を除いて、ジャパニーズドリームは存在しない」
毎日新聞 2006年6月16日 22時15分 (最終更新時間 6月16日 22時27分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20060617k0000m040134000c.html


「朝日」の記事は今や義務教育を受けることすら困難な児童への助けが「財政的」理由、カネがないという理由で、切り詰められつつあることをデータ的に明らかにしている。チャレンジどころではなく、基本的人権すら確保されていない。

「毎日」のインタビューは、うまいこと義務教育、さらにはその先の教育を受けても、大部分の人はチャレンジもできず、黙々と、あるいはいやいや、働かされ続けるしかないという日本社会の現状を、それを経験した人に語らせて、説得力がある。

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2006年6月16日 (金)

製造元の責任が大らしい――エレベータ

共同通信のサイトに以下の記事が出た。

原因はプログラムミス シンドラーのトラブル
【16:00】 シンドラーエレベータは16日、千葉県浦安市、東京都八王子市、名古屋市でドアが開いたままエレベーターが昇降したトラブルは、制御盤のプログラムミスが原因であることを明らかにした。
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=FLASH

制御盤はエレベータの頭脳・神経部分であり、そこが問題というのは100%製造元の瑕疵、ということになる。ただこのニュースは速報なので「プログラムミス」の実際が分からないが、エレベータの保守・点検でプログラムの手直しを、独立系のメンテナンス業者がするとは考えにくい。

エアバスもそうだが、ヨーロッパ系の機械は情報系が弱いような気がする。エアバスの件は、自動制御のシステムが優先で、操縦者の意向に無関係に、コンピュータが独自判断で、機体の上昇や下降を決めてしまった事故を指している。これは1994年4月26日、台北から名古屋に向かっていた中華航空のエアバス機が着陸直前に名古屋空港の滑走路近くに墜落、乗客・乗員264人が死亡した事故だ。

人間とコンピュータのマッチングが弱い程度ならともかく、死者まで出ては「弱い」どころではない。致命的な欠陥だ。

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2006年6月15日 (木)

僕は日本の日々の歩みに希望を持っている

僕は1989年に新宿区戸山町で発見された人骨(ほね)の問題以降、厚生省、今は厚生労働省の果してきた役割に期待している。それなりのことはしてきたと考えている。

以下は昨日、6月14日の記事だ。

ハンセン病患者の遺体「標本」、国が1体ごと供養へ
 全国のハンセン病療養所などで、100体以上の胎児や新生児の遺体が「標本」として保存されている問題で、川崎厚生労働相は14日、入所者らと厚労省で面会し、「患者やご家族が多大なる精神的苦痛を受けたことは誠に遺憾で、心からおわび申し上げたい」と初めて謝罪した。
 厚労省では今後、個々の入所者や家族らの意見を尊重しながら、1体ごと供養していく方針。
 遺体標本の存在は、有識者らでつくる「ハンセン病問題に関する検証会議」の調査で、昨年1月に判明。全国5か所のハンセン病療養所と、国の研究施設「ハンセン病研究センター」(東京)で、人工妊娠中絶や人工早産による胎児や新生児の遺体が計115体保存されており、同会議は「国は手厚く供養すべき」などと提言していた。
 川崎厚労相はこの日、「皆さんとの話し合いに基づき、1体ごと丁寧な供養を実施するよう指示した」と説明。今後、全国13か所の療養所すべてで病理標本の管理規定の整備や職員の医療倫理研修などを実施し、再発防止策を徹底するという。
(2006年6月14日21時34分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060614i413.htm

こうした姿勢は、ワールドカップでベストフォ-に匹敵するような真摯な姿勢だと思う。

これは日本という国が、中央銀行の総裁が「ゼニゲバ」でも、他方でちんと仕事をしている官僚がいる、あるいは大臣がいる、という意味で日本という国を僕なりに愛している人間として、ほっとしたニュースだった。

こんなニュースが溢れるといいな、と思ったが、こうしたことがニュースとならない時を僕たちは待っているのだろう。僕は日本の日々の歩みに希望を持っている

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2006年6月14日 (水)

米国が好き――僕は典型的日本人らしい

僕は米国政府が進める戦争には反対だが、米国は他のいろいろな国と比べれば良い国ではないか、と思っている。ワールドカップでは昨日早朝(日本時間)チェコにゼロ対3で負けたが、力強く、生き生きした好ましい印象がある。

しかしこうした米国に対する評価は今や世界では少数派となっている。

以下は、「読売」のサイトの記事だ。

「米国に好感」さらに低下、5割超は2国だけ
 【ワシントン=坂元隆】米世論調査会社ピューリサーチセンターが13日発表した国際世論調査によると、米国に対する好感度は2006年も全般的に低落傾向をたどっていることが明らかになった。
 調査は、アジア、中東、欧州、アフリカの14か国を対象に3~5月に行われたもので、米国に好感を抱いていると回答した人の割合は、最高が日本の63%、最低がトルコの12%だった。欧州各国では軒並み前年調査より好感度を減らし、英国は56%とかろうじて過半数を上回ったが、前年40%台だったフランスは39%、ドイツは37%と、いずれも40%にとどかなかった。
 一方、米国主導によるテロとの戦いに対する支持率は、2002年調査では中東をのぞくほとんどの国で6割を超える支持を獲得していたが、今回の調査では5割を超えたのはロシアとインドだけだった。(2006年6月14日21時52分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060614it14.htm?from=top

米国への好感度は日本が一番で、二番が兄弟国、英国だ。

この高い好感度は、日本で支持率が高い小泉首相が常に米国支持を表明していることの影響なのか、それともこの高い好感度ゆえ、小泉首相は米国の顔色ばかりうかがう外交を行なっているのか。どちらだろう。あるいはその相乗効果か?

日本での米主導のテロとの闘いの支持は半分以下だ。しかし米国に対して好感を持つと答えた人は63%だ。こう見ると、対米スタンスでは僕は典型的な日本人のようだ。

いや全く気付かなかった。知らないで時代の流れに乗っているようだ。

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2006年6月13日 (火)

ヒルズの金の亡者のバックに日銀が…

ライブドアや村上ファンドの背後に日銀総裁がいたんだ。

彼らを支えていた、というより操っていた一端が明らかになったということだろう。

以下は「産経」の記事の一部だ。


日銀総裁、村上ファンドに1000万円拠出

 日銀の福井俊彦総裁は13日午前の参院財政金融委員会に出席し、証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された村上世彰容疑者が前代表として率いていた「村上ファンド」に対し、平成11年秋に1000万円を拠出し、現在も資金は回収しておらず、預託を続けていることを明らかにした。
 また、村上ファンドとの関係は、「ガバナンス(企業統治)に関し大所高所からアドバイスしたことはあるが、役員としての契約はせず報酬も受けていない」とした。
 福井総裁は資金拠出の目的を「応援の意味で」と述べ、自身の金儲けではないことを強調しているが、結果的にはファンドから利益を得たうえ、村上容疑者の活動を側面支援した形になる。
(06/13 11:54)
http://www.sankei.co.jp/news/060613/kei063.htm

日銀総裁と言えば、政府に従属するものではないが、行政の不可欠の一部分である。現在の、そしてこの問題の張本人、福井総裁を任命したのは小泉内閣だ。日銀総裁のように尻尾をつかまれた人物は、彼以外にはまだ出ていないが、うわさされる人が政府の審議会の会長などに就いている。

いわば、現在の内閣を、内と外から支えている人々が、ヒルズの金の亡者を支え、操っているのではないか、という疑問を僕のような鈍感な人間でも、持つ。

今回の日銀総裁の「失態」(政府側にとっての)は、そういう目を見開くきっかけとなった。

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2006年6月12日 (月)

ワールドカップも神頼み

日本人は信仰心に篤い。その証拠が、多くの家で仏壇(仏教)と神棚(神道)を見かけることだ。

それだけではない、復活祭やクリスマスを祝い(キリスト教)、他方で神前結婚式を挙げ(神道)たりする。これだけで3種類の神様を心の中に持っていることになる。

そのせいか、今日、12日は、日本がこの後ドイツでオーストラリアとワールドカップの初戦を闘うのだが、京都では蹴鞠の神様が祭られている神社で、また横浜では日本サッカー協会のシンボル「やたがらす」を祭ってある神社で、必勝祈願が行なわれたという。

まあ何でも良いのだ、一次リーグを突破し、決勝トーナメントまで進んでくれれば、楽しみが増す。楽しみが増すことを期待しよう。

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2006年6月11日 (日)

やっぱりそうなのだ!

僕の直感は外れることが多いのだが、今回は当りみたいだ。

以下は「毎日」の記事だ。全文を引用する。

エレベーター事故:メンテ価格が3年で4分の1に

 事故機の保守点検は98年3月の設置時から03年度まで、随意契約でシンドラー社が行っていたが、費用削減のため04年度から指名競争入札が導入された。その結果、04年度はシンドラー社が347万円で落札して引き続き受注。05年度の日本電力サービスは158万円、06年度のエス・イー・シーエレベーターは115万円で落札していた。

 シンドラー社が随意契約で請け負った03年度の契約額は446万円。メンテナンス価格は、03年度から3年で約4分の1になったことになる。

 業界関係者は「エレベーター業界のうまみは、メンテナンスを受注して、納品後も収益を上げ続けるところにある」と話している。

毎日新聞 2006年6月11日 3時00分 (最終更新時間 6月11日 3時38分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060611k0000m040108000c.html

これはエレベータに限らず、集合住宅の消防設備などについても言えるのではないか。

是非こうした身近なところでの独占に、あるいは機械のブラックボックス化を悪用した商法に、独占禁止法のメスを入れてもらいたいものだ。

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2006年6月10日 (土)

物の値段――安物買いの銭失い

安くても、その後の保守で費用がかさむことが良くある。スキャナーなどがその典型かな、と思う。

スキャナー、あるいはそうした機能を持ったプリンター本体、の販売価格は、僕が買うような機種では3万円程度だ。それで1年近く使っていたら、そのスキャナーのための新しいソフトができました、これに代えると読み取り能力が飛躍的に向上します、という「お知らせ」がくる。そしてその値段は、というと2万5千円くらいかかったりする。つまり、機械の値段はわずか5千円程度?ということになる。

こんなことを思ったのは今回のエレベータ事故がきっかけだ。事故の一方の当事者のエレベータ会社は、整備の問題を口にしている。この会社は、日本進出から10年程度だと思うが、あちこちの「公」的施設に納入実績があるようだ。

これら納入実績は、見積価格が低かった、安かったから、えられた結果だろう。その安い分を「整備(メンテンナンス)」で取り戻すという考えはなかったのだろうか。

最近自分が住んでいるところで管理組合の仕事をしている。すると本当かいなという修理の「お伺い」の文書がくる。どうも機器を安く納入し、あるいは点検費用を安くする代わりに、早め早めの修理を強いられているような気がする。

僕の被害妄想か?

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2006年6月 9日 (金)

昨日の続き、小泉首相が大人だったら…

小泉首相は子供っぽいだけなのか、と一日考えていた。

ひとつには「田中宇の国際ニュース解説 世界はどう動いているか」で「行き詰まる覇権のババ抜き」(2005年6月15日 田中 宇)を読んでいたためかもしれない。
(http://tanakanews.com/f0615empire.htm)

そこには「覇権回避のための小泉靖国参拝」という節がある。

田中の分析が正しい、小泉首相が長期的視野、戦略の下で靖国参拝をしているであれば、それについての説明をすることはありえないだろう。今のような分かったような分からないような、抽象的な説明に終始するだろう。長期的戦略を公表してしまえば、その段階でその戦略は意味を失う。

田中が指摘するような戦略・長期的視野が良いかどうかはともかく、僕は日本の首相としては、そうした戦略や視野があって、今子供っぽく振舞っているのだと願っている。

だれも自国の首相が子供っぽくて良いとは思わないだろう。この願望が裏切られることはないだろうか。

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2006年6月 8日 (木)

言うは易く、行なうは…「産経」のスクープ?!

昨日から今日にかけての記事だ。どちらも小泉首相が絡んでいる。

それぞれの見出しを引用する。

7日は「産経」の記事で「『医薬部外品も薬』小泉首相答弁で質疑ストップ」で、8日は「読売」で「サッカーくじ…首相、撤退を含め『見直しを』」である。

「読売」の記事内容は見出しから大体推測がつくだろうが、一部引用すると「『役所がこういうものを考えて、売り上げが上がるかどうか疑問だ。本当に役人の仕事かどうか見直さないといけない』と述べ、将来的な業務撤退を含めて運営のあり方を見直す考えを表明した。」(2006年6月8日1時54分  読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060607i217.htm

「産経」の記事は見出しだけでは良く分からない。記事を長めに引用する。

小泉純一郎首相が「コンビニで医薬品も買えるようになった」と答弁したことに社民党の又市征治氏が「(買えるのは)医薬部外品だ」と猛反発、首相は「医薬部外品も、医薬品も、広い意味で薬だ」と言い張り、一時審議がストップする一幕があった。

首相は「分かりやすく話をした」と反論し、誤りを認めなかったものの、又市氏がコンビニで買える医薬品名を答えるよう迫ると「具体的には…」としどろもどろ。

「安全上特に問題がないとされた医薬品を医薬部外品に移行して一般小売店での販売を認めた」と川崎二郎厚生労働相が「正解」を答弁したが、首相は最後まで発言撤回を拒否。(06/07 19:34)
http://www.sankei.co.jp/news/060607/sei102.htm

役人、他人、には率直に誤りを認める必要を説きながら、自分のことになると、これほど明白な誤りすら訂正できない、誤りを認めようとしない。

「産経」の記事の通りであれば、なんとも子供っぽい。一度口にしたら、いくら誤りでも、決して取り消さない。

靖国参拝を続けるのもこうした子供っぽさ故なのだろうか…。昨日の「産経」の記事はそうした推測があがなち的外れでないことを言外に言っている大変なスクープなのかもしれない。

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2006年6月 7日 (水)

731部隊、新視点?

6月3日に書いたように、731部隊について、何か書けそうな気がする。

新しいポイントは、戦犯免責をめぐる日米取り引きの構図が、従来知られていたのとは全く違うことが昨年夏はっきりしたことだ。すなわち、情報の提供は戦犯免責もあったかもしれないが、人体実験についての情報は金品による買取だった、という点が文書で裏付けられた。その一端は、このブログの表紙にしている本で触れている。

第二に、昨年発掘された731部隊長、石井四郎が残したとされるノートがある。まだ筆跡鑑定などは行なっていないが、内容的には、つまり状況証拠的には本物と考えられる。だとすると、敗戦時の状況、1945年8月15日前後の状況が従来以上に明らかとなった。しかし最終的には、筆跡鑑定などが必要となる。

他方で、石井ノートが本物ということになると、20年近く前に出版された女性の筆者による731部隊についての、ノンフィクションという触れ込みの作品の信憑性が多いに揺らぐことになる。

こんなことを考えるのは、7月後半に「731部隊-実像と虚像」という講演をするので、今から何をどう話そうかと考えているためかもしれない。

もうこれでお終いにしようと思いながら、新しい資料が出てきて、それがとんでもない重要なものの繰り返しで、ここまで来た。

それは逆に言うと、あるいは、まともに考えると、僕の研究はいつも詰めが足らず、大きなポイントがもれている、ということかもしれない。

まあそれでも、新しい資料との出会いは楽しいから、それでもいいと思っている。開き直っているね。

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2006年6月 5日 (月)

新妻ファイル、ベトナムの記事の誤報

昨日、4日の英文記事にとりあえず訳をつけました。誤報を見つけました。

この記事の大きな「間違い」は、2番目のパラグラフの「中国での人体実験遂行についての日本の責任を免除した」という箇所だ。この誤りは新妻ファイルの時代、1945年9月から11月まで、米軍は731部隊による人体実験の事実を暴露できていなかった、という事実を知らないことによる。

731部隊による人体実験を知らなかった、あるいは暴露できなかったのだから、「免除」はありえない。単に不十分な調査しかできていなかった、あるいは増田や内藤にしてやられた、というだけのことだ。

本文は以下の通りだ。

水曜日に防衛庁に寄贈された歴史資料は、日本陸軍が1945年の敗戦時に、中国で生物兵器開発を行なっていた証拠を廃棄したことを明らかにしている、と共同電は報じている。

新妻ファイル、これは文書の作成と保管を行なっていた、旧軍の将校である故新妻清一にちなんだ名前だ。このファイルによれば、占領軍当局は部隊による中国での人体実験遂行についての日本の責任を免除したことも示している。

このファイルには、1945年8月15日に731部隊に細菌兵器開発の証拠を廃棄させた軍命令を記した新妻のメモも入っている。また彼による、米当局者による彼自身やその他の日本陸軍の将校に対する尋問の記録も含まれている、とこの報道は伝えている。

新妻ファイルによれば、米当局者は新妻や他の将校に「科学研究と戦争犯罪とは区別する」と告げたという。これは実質的には、中国での人体実験遂行についての日本の責任を免除したことになる。

戦時中に新妻が集めた大量の文書は防衛庁の研修所に、彼の次女OTによって水曜日に寄贈された。

この文書には731部隊の医者であった増田知貞から、新妻に宛てた1945年11月の手紙がある。その手紙で別の軍医、内藤良一が中国での人体実験の事実を隠そうと提案している。

ここまでが本文のとりあえずの訳だ。

小さな誤りは、新妻の資料は主に戦時中ではなく、戦後彼が立ち会った調査や調整の結果、彼が認めたり、彼の許に集まった資料だという点だ。

文書の大部分が彼の自筆のものという点が一番の価値だと考えている。

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2006年6月 4日 (日)

新妻ファイル――ベトナムの視点

6月1日に書いた新妻ファイルについてだ。

ベトナムのサイトが、新妻フィルが防衛庁に寄贈された、という共同通信電を次の見出しで伝えた。

Japan destroyed germ warfare evidence in 1945
日本は1945年に細菌戦の証拠を廃棄した。
http://english.vietnamnet.vn/international/2006/06/576607/
08:28' 01/06/2006 (GMT+7)

本文は以下の通りだ。日本語訳は後日アップします。

Historical documents presented to the Japanese Defense Agency on Wednesday reveal that the Japanese Army destroyed evidence of biological weapons development in China upon surrender in 1945, Kyodo News reported.

The Niiduma documents, named after Seiichi Niiduma, a deceased former army officer in the Imperial Japanese Army, also show that at the end of World War II, the United States occupation authority had exempted Japan from liability of having conducted human experiments in China.

The documents included Niiduma's record of the Japanese Army ordering Unit 731 on Aug. 15, 1945 to have evidence of developing germ weaponry destroyed, as well as his records of the U.S. authority questioning himself and other Japanese officers, the report said.

According to his records, the U.S. authority told Niiduma and others "not to mix scientific research with war crimes," which practically exempted Japan from liability of conducting human experiments in China.

The bunch of documents, collected by Niiduma during the war, were given to a research institute of the Defense Agency on Wednesday by his second daughter Tomoe Obata.

The documents also included a letter from Tomosada Masuda, an army doctor of Unit 731, to Niiduma in November 1945, which recorded that another army doctor, Ryoichi Naito, had proposed concealing the fact that human experiments were conducted in China.

VietNamNet/Xinhuanet

確かに、同ファイルでは、8月15日に、731部隊などに「特殊研究」の全「証拠を陰(ママ)滅」するよう指示したメモが残っている。

しかし日本人である僕にとっては、9月以降の米軍とのやり取りが興味深く、この証拠隠滅について、言ってみれば当然のことでもあり、深く考えなかった。足元を救われた感じだ。

いろいろな視点からものを見、考えなければいけないことを改めて実感した。

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2006年6月 3日 (土)

731部隊展 in 長崎

7月に「岡まさはる記念長崎平和資料館」で731部隊展が予定されている。

今、そのために僕ができることをあれこれ考えている。僕自身が持っている資料は、希望があれば提供するつもりだ。あくまでも主催は同資料館だから、押し付けはできない。

提供資料を整理しながら、最近分かったことを中心に、新しい視点から731部隊について本が書けないかなと思い始めた。

今年は731部隊創設70年という節目のせいだろうか、あちこちで話をする機会が多そうだ。既に5月に医科大学で話をした。この後、長崎(7月)、そして僕たちの「人骨(ほね)の会」(7月)、それから旅費の補助が得られたら北京の国際生命倫理学会(8月)、と続く。

話しっぱなしではなく、活字に残したい。

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2006年6月 2日 (金)

何が再チャレンジだ!

以下は「日経」のサイトの見出しだ。

再チャレンジ支援議連、90人超出席・安倍氏あいさつ (14:01)
http://www.nikkei.co.jp/

二世議員が集まって、何が再チャレンジだ! チャレンジすらできない若者が増えているらしいのに、のんきなものだ。

学歴、さらには偏差値は親の所得で決まってくるということはもう数十年来言われていることだ。その度合いが昨今一層高まっている。

親の都合で学費が払えない高校生や大学生の割合も増えている。そういう人たちは、チャレンジ以前の問題だ。それでも「おしん」みたいな人もいるだろう。そういう人からすれば、高校中退や大学中退は恵まれた人だろう。

しかし現在のような、情報化社会では階層としての、さらには階級としての経験やネットワークが、社会的なチャレンジの達成には重要な武器となっている。そうした環境を得られない人は、猪突猛進するしかないのではないか。それは初めからチャレンジのチャンスがない、に等しいのではあるまいか、と考えている。

「日経」の見出しの90人の議員のうち何人が、自分で、つまり親などの地盤を受け継ぐことなく、分かり易く言えば鈴木宗雄さんのように、独力で議員となったのだろう。

非・世襲度を知りたいものだ。

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2006年6月 1日 (木)

新妻ファイル

以下はTBSのニュースのサイトの記事だが、相当異例な内容に思える。何が?


「731部隊」の文書、防衛研究所に寄贈

 旧日本軍の細菌戦部隊、いわゆる「731部隊」に対して、GHQ=連合国総司令部が戦犯としての責任を問わない保証を与えていた経緯などを記した貴重な文書が防衛庁の防衛研究所に寄贈されました。

 これらの文書は通称「新妻ファイル」と呼ばれる個人文書で、終戦時に陸軍参謀だった故・新妻清一氏が自宅に保管していたのを共同通信の太田昌克記者が発掘、生前の新妻氏から許可を得て公表していたものです。

 これらの文書にはGHQが終戦直後に満州から帰国した731部隊関係者に戦犯としての免責を与えて尋問を行った速記記録が含まれており、さらには細菌兵器の実験・開発の詳細なデータなども含まれる第一級の史料です。

 文書の寄贈には新妻氏の二女も立ち会いましたが、今後は731部隊の貴重な資料が国の施設である防衛研究所に所蔵されたことになり、研究者らは歴史上の事実として、さらに解明が進むことに期待を寄せています。(31日20:48)
http://news.tbs.co.jp/

この記事の何が異例か? それは「共同通信の太田昌克記者が発掘」そして公表というところだ。

僕の理解では、マスコミがその報道で同業の記者の所属と名前を出すのは、その人物が犯罪行為を犯している場合や、何らかの事件の当事者となった場合が大部分である。

今回の太田記者への言及は、彼が埋もれていた資料を発掘したという、ジャーナリストして優れた仕事をしたということについてである。このような場合、その記者が所属する会社のニュースで報道されることはあるが、ライバル社がこの短い、1分のニュースできちんと伝えていることに感心した。

太田記者の仕事はジャーナリストとして優れた仕事だが、そのことを明確に報道したこのニュースの姿勢もジャーナリストとしての矜持を感じる。

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